――まず、3回の座談会を終えた感想を聞かせてください。

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 医療を担うさまざまな職種の人たち、さらに中央省庁や自治体の人たちも含め、皆が基本的には同じ方向を向いていました。これは、私にとっても大きな発見でした。未来の姿について、これだけ多くの関係者と共に議論できたことは、この座談会の大きな成果だったと思います。“あるべき論”を議論する場として、とてもクリエイティブなものでした。

――今回の座談会では、次世代の医療・健康・介護の実現に向けて、場合によってはICTを活用しながら、それぞれの職種が担うべき役割を変化させてリソースを有効活用することが必要だとの意見が多くありました。

 それぞれの職種がカバーしている境界線をずらしていければいい、確かにこれは今回の議論での大きな流れでした。実は私自身、自らのクリニックでICTを導入したり、石巻(宮城県)で在宅医療・介護情報連携に取り組んできたりした本質的なコンセプトは、まさにそこにあるのです。

 しかし、自らやってみて分かったのは、そう簡単じゃないということ。このコンセプトは、皆で補い合おうと思っている人たち、もしくは一定のリスクを冒しても良いと思っている人たち、さらにはそれを可能にする能力を持っている人たちの組み合わせでのみ成り立つんです。少しでも違う概念を持った人がいると、うまくいきません。ですから実際には、特定のメンバーを集め、それを可能にするフィールドがなければ成り立たない理想形の世界といえます。

座談会の様子
座談会の様子
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