――社長就任直後に実施した2017年3月の事業説明会では、「ヘルステック領域でナンバーワンを目指す」と宣言されました。ヘルステック市場の可能性については、どう捉えていますか。

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 間違いなく大きなポテンシャルがある領域です。ヘルスケアにITを活用することは、世界に向けて日本の価値をアピールできるチャンスでもあります。日本はこれから超高齢社会に突入しますが、技術力や社会環境を含め、新たな価値を生み出せる可能性が非常に大きい領域だと考えています。

――日本は有望な市場だと。

 もちろんです。日本はPhilips社にとって、国・地域別で4番目に大きな市場です。ヘルステックを推進するというグループ全体のビジョンは共通していますから、まずは超高齢社会が現実となる日本に大きな期待がかかっています。

 日本のITインフラは世界の中でもトップクラスです。さらに大きいのは、医師の質の高さ。こうした恵まれた環境の中で、ヘルスケアとITをいかにして掛け合わせていくかが鍵を握ります。

――フィリップスのヘルスケア事業と言えば、これまでは画像診断装置が主力でした。従来のアプローチを大胆に変えていくのでしょうか。

 その通りです。我々は、ハードウエア事業からソリューション事業に舵を切ることを宣言しています。これまでは、病院内のモダリティー(画像診断装置)を強化していくことがメインでした。しかし今では「病院全体の仕組みを考えましょう」という流れに変わってきています。

 我々は、そこからさらに踏み込みます。「病院の外」を含めた全体のマーケット、生活環境すべてを対象とするのです。つまり、人々の生活全般の中で医療ソリューションを最適化していこうという考え方です。このビジョンを推進するためには、医療業界はもちろんのこと、我々のビジネスモデル自体も変化させていく必要があります。