調剤薬局にもICT化推進の波が押し寄せている。電子薬歴など薬局内業務支援だけでなく、患者や医療機関との情報連携にかかわるICT化だ。

 2016年度診療報酬改定において電子お薬手帳が、一定要件を満たした場合には紙のお薬手帳と同様の扱いが可能となり、薬剤服薬管理指導料を算定できるようになった。また、同年4月より地域医療連携ネットワークなど実施環境が整ったところからだが、電子処方箋運用が認められた。

 こうした動きに対して日本薬剤師会は、2015年7月に日薬版電子お薬手帳「日薬eお薬手帳」を公開するとともに、先行運用していた大阪府薬剤師会開発の「大阪e-お薬手帳」と相互利用・閲覧する仕組みを提供。2016年4月1日には、患者が運営主体の異なる複数の電子お薬手帳を利用していても薬局で一元的に情報把握が可能となる「電子お薬手帳相互閲覧サービス」の提供を始めた(関連記事)

 一方、電子処方箋の運用や地域医療連携で必須となるHPKI認証に対応するため、薬剤師の資格証明を行う日本薬師会認証局を立ち上げ、薬剤師資格カード(HPKIカード)の本格的な発行を準備している。厚生労働省の医療情報ネットワーク基盤検討会の構成員でもある日本薬剤師会常務理事の田尻泰典氏(情報システム検討委員会担当)に、薬局のICT化対応における事業活動について聞いた。

(聞き手は増田 克善=日経デジタルヘルス)

日本薬剤師会 常務理事の田尻泰典氏
日本薬剤師会 常務理事の田尻泰典氏
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