――津本先生は、もちろん医療情報学会にかかわられているわけですが、それ以上に「人工知能学会」にも深いかかわりがあるそうですね。

 私はどちらかというと人工知能学会に軸足を置いていました。ですから、両方の学会を知る私の役割は、医療情報と人工知能に橋を架けること。今回の学会では、それを少しでも実現できればと思っています。

第20回 日本医療情報学会春季学術大会のホームページ
第20回 日本医療情報学会春季学術大会のホームページ

 私が医療情報学会を見ていると、やや医療寄りすぎて、新しい技術を取り入れることがなかなかうまくいっていない印象を持ちます。また、「本当に使えるのか?」という疑いの目を持っている人も少なくないでしょう。

 一方で、人工知能学会側から見ると、医療に応用できる部分があるとは思っていても、医療の内部(実態)がなかなか分かりにくいのが実情です。医療応用への期待は持ちつつも、どこまで踏み込めるのか自信がないという感じでしょうか。

 今回は、その両者に橋を架け、踏み込んでいきたい。どのような人工知能技術が医療に応用できるのか、応用されるべきかについて、両分野の研究者で共に議論する場を設ける予定にしています。

――「本当に使えるのか?」という話も出ましたが、医療側から見た場合の今の人工知能の評価はどうでしょうか。

 中身によると思います。データマイニングや機械学習であれば、かなり実戦で使えるレベルなっています。出てくる結果がまだ専門家好みではないなどの点はあるかもしれませんが、プログラムとしては使えるところにきていて、あとはチューンアップの段階といえます。

 一方で、まだ「怪しい」と思われているのは、エージェントとも言われる、人間とのやり取りの部分です。人間と変わらないコミュニケーションを目指して開発が進められているわけですが、現状ではすぐ医療に応用できるわけではないでしょう。