VR(仮想現実感)用ヘッドマウントディスプレー(HMD)を手掛けるスタートアップのFOVE CEOの小島由香氏のインタビュー。後編は、今後形成される市場をどう見通し、どんな位置を狙っていくのか。直近の事業や将来の戦略について紹介する。

 視線追跡機能もVRも、まだまだ身近な技術ではないので、まずはユーザーが実際にFOVEに触れられる機会を我々から提供していこうと思っています。その一環として、ネットカフェ向けゲームシステムやコンテンツ配信などを手掛けるテクノブラッド(本社・東京)に、FOVEを一定台数買い取ってもらうことが決まっています(関連記事)。

小島由香氏。取材・撮影場所は同社の旧・日本オフィス(写真:加藤 康、以下同)
小島由香氏。取材・撮影場所は同社の旧・日本オフィス(写真:加藤 康、以下同)
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 テクノブラッドが、ゲームシステムの管理などを請け負っている日本や韓国のネットカフェにFOVEを無償提供する形で、ネットカフェの利用者にFOVEでVRコンテンツを体験してもらえるようになります。ネットカフェは今、成熟期を迎えていて、市場規模は横ばいだと聞いています。新しい顧客を獲得するカンフル剤として、VR用HMDを選んでいただいたのでしょう。

 VRは展示会に出品されれば、試遊に1~2時間待ちの行列ができる状況です。一種のテーマパークや遊園地のアトラクションのようなものです。ゲーミングパソコン(ゲーム向けにグラフィックス性能を高めたパソコン)とHMDがあれば、ジェットコースターに乗っているような感覚が味わえる。それってすごいことだなと思います。