――地域別では今後、どの市場がカギを握るでしょうか。

 そこは難しいですね。政治的な状況を含め、不確定要素がどんどん増えています。今日思っていることと明日思うことは、全然違うかもしれない。

 例えばここ数年、我々はブラジル市場で大きな成長を遂げてきたのですが、(前大統領にかかわる政治的混乱などの影響から)今の状況は厳しいです。米国でのトランプ大統領就任がこれから及ぼす影響も、なかなか見通せません。

 長い目で見れば、これから成長する地域と既に成熟した地域を分けることは可能でしょう。ただし成熟した地域にはもう魅力がないかと言えば、そんなことはない。日本市場で我々がやれることはまだまだありますし、米国は世界最大かつ最先端の市場ですからここでの成長は引き続き欠かせません。

 自国での生産を誘導するような保護主義の動きが世界中で出てきていることは、心配ですね。一方で、こうした変化は新たな市場機会につながる可能性もあるのですから、どういうアイデアで処していくか次第です。

――この4月に開催される国際医用画像総合展(ITEM 2017)は、東芝メディカルの社名で同展示会に出展する最後の機会になりそうです。

 我々は最近、さまざまな場で「Together, we complete the image.」というキャッチフレーズを掲げています。今回のITEMでもこれを全体のメッセージにしたい。Imageには画像という意味と「より良い診療のイメージ」といった意味をかけています。

<B>たきぐち・としお</B><br>1980年3月、東京大学工学部精密機械工学科卒業。同年4月、東京芝浦電気 医用機器事業部 入社。1998年4月、東芝アメリカメディカルシステムズ社。東芝メディカルシステムズ営業本部副本部長、同社事業開発部長などを経て、2013年6月に同社執行役常務。2014年6月から現職。
たきぐち・としお
1980年3月、東京大学工学部精密機械工学科卒業。同年4月、東京芝浦電気 医用機器事業部 入社。1998年4月、東芝アメリカメディカルシステムズ社。東芝メディカルシステムズ営業本部副本部長、同社事業開発部長などを経て、2013年6月に同社執行役常務。2014年6月から現職。
[画像のクリックで拡大表示]

 具体的には、より精細な画像が得られたり、患者の負荷を減らしたりといった改良に関して、最新の取り組みを紹介します。先ほどお話した3つの価値、臨床的価値と作業効率上の価値、そして経営的な価値に照らして、我々が提供できることをアピールします。

 今後力を入れるデータの扱いに関する出展として、臨床医向けの「コックピット」も用意しました。患者に関するさまざまなデータを収集・加工して表示するシステムで、医師が患者の情報を一覧し、過去からのトレンドなども確認できるようにしたものです。楽しみにしていてください。