――GlucoNoteで収集したデータをどのような臨床研究に生かすのですか。

 最終的には日々記録されたデータから、生活習慣のどういった点に問題があるのかを調べて患者にフィードバックすることを目指しています。例えば、血糖値が慢性的に高い人は日常の食生活に問題があるのか、普段は低くても極端に高くなる日がある人は飲みにいく回数を減らした方がよいのか。こういった日常生活と糖尿病の関係を、継続的に記録されたデータから解き明かしていきます。

――登録ユーザー数の目標はどれくらいですか。

 2万人から3万人。登録するだけでなく、継続してデータを記録してもらえる方をそれぐらい集めたいと考えています。

――ユーザーが測定するデータに精度の問題が発生する可能性はありませんか。例えば、iPhone内蔵の加速度センサーと米Fitbit社のウエアラブル機器で測定した歩数が同じになるとは限りません。ある程度、測定機器を限定したほうがよいのではないでしょうか。

 確かに、それぞれのデータが正確ですかと言われると難しいですね。複数の活動量計の測定結果を比較したところ、バラバラだったという米国の調査もあります。ただ、万歩計を使って歩数を計測する場合も同じ問題はありますし、iPhoneアプリを使った臨床研究に限った話ではありません。

 では、その問題をどうやってクリアするのか。ひとつは個々の測定データの絶対値ではなく、相対的な変化に着目するという考え方があります。機器ごとの測定結果に違いがあったとしても、少なくともユーザーは同じ機器を使い続けているわけですから「今日は昨日よりたくさん歩いた」などの変化は正確に読み取れます。それに、できるだけ多くの人たちからデータを集めることで、測定結果は「真値」に近づいていきます。