――ResearchKitを用いてGlucoNoteを開発した理由は何ですか。

 ResearchKitは、米国の著名な大学でも臨床研究アプリのフレームワークとして採用されています。日本の特性を知るためには、海外の臨床データと比較する必要があります。その際、同じフレームワークを用いたアプリ同士の方がデータを比較しやすくなります。

――GlucoNoteを利用することで、ユーザーはどのようなメリットが得られますか。

 活動量や食事などの生活習慣が、血糖値や血圧に与える影響を客観的に見ることで、自己管理に役立てることができます。例えば、毎日のカロリー摂取量によって血糖値がどのように変化するのかを見て、食べ過ぎかどうかが判断できます。自己管理による生活習慣の改善は、1人きりの孤軍奮闘ではなかなか続かないものです。GlucoNoteのようなアプリからのフィードバックは、大きな励みになるでしょう。

 将来はユーザーのプロフィールや食事の記録にもとづいて、適切なアドバイスを出す機能も実現したいと考えています。例えば、食物繊維が足りない場合に「きのこや海藻類をもっと食べましょう」というアドバイスをもらっても、インドの人は困ってしまいます。「豆のカレーを食べましょう」の方がしっくりくるでしょう。あるいは、ジャンクフードが好きな人にいきなり精進料理を勧めても無視されるでしょうから、まずは野菜が多めに入ったハンバーガーを勧めるなどですね。

――ユーザーはGlucoNoteに記録したデータを、自身の糖尿病治療に役立てることはできないのですか。例えば、過去にさかのぼって食生活や血糖値のデータをGlucoNoteから受け取って、医師に提出するといった使い方です。

 将来はそういった要望にも応えていきたいですし、私自身も医師としてそういったサービスがあればいいと思います。ただし、そのためにはデータが将来にわたって紛失しないことを保証する準備が必要になりますので、現段階では提供していません。