アニス・ウッザマン
アニス・ウッザマン
東京工業大学を卒業後、Oklahoma State Universityで修士、東京都立大学にて博士を取得。米IBM社や米Cadence Design Systems社を経て2011年にFenoxを設立し現職。(写真:Fenox Venture Capital)

世界各国のスタートアップ企業が1億円の出資を目指して競うイベント「Startup World Cup」を主催する米国のベンチャーキャピタル、Fenox Venture Capital社。同社を率いるUzzaman氏は、シリコンバレーや世界各国の起業環境に詳しいだけでなく、日本の大学で学位を取り、多くの日本ベンチャーにも出資する日本通だ。同氏に、Startup World Cup予選を通じて感じた、各国と日本のスタートアップ支援の現状を聞いた。

――世界各地でStartup World Cupの予選を進めています。

 現在までに9箇所の予選が終わりました。インドネシア、日本、南アフリカ、米国のニューヨーク、インド、オーストラリア、台湾、中国、韓国です。これからチリ、米国のカリフォルニアとテキサス、英国、米国のボストン、チェコ、ルクセンブルクでも予選を行います。合計16箇所の予選を経て、フィナーレはサンフランシスコで、3月24日に決勝があります。予選はそれぞれ1000人規模のイベントですが、フィナーレでは2500人が集まる予定です。

――国によって、申し込んできたベンチャー企業の傾向に違いはありますか。

 例えばインドネシアでは、まだまだそこまで大きくなっていない、アイデアが主体の初期段階の企業が多かった。シリーズAとかシードとか呼ばれる段階です。日本では、だいたい10億円前後の売り上げの会社が多く、シリーズAからCといったところですね。中国はほとんどシリーズBぐらいで、かなり売り上げを持っている会社が申し込んできました。平均で、それぞれの国で100社以上が予選に申し込んでいます。

――やはり技術系が多いんですか。

 今までの予選で、技術系が一番多かったのは中国です。台湾がその次。三番目はおそらくオーストラリアです。他の国だとコンシューマー系も多かったですね。中国では、コア技術、コアR&D、コア開発の会社が多く、私もすごくびっくりしました。予選に申し込んだ会社、予選に残った会社の両方です。中国の技術レベルは、これまで予選をした9地域の中で一番高かった。

 日本の会社も優秀なところが多かったのですが、技術系かというと、そうでもなかったです(日本予選の記事)。ビジネスとしては中国よりも立派かもしれませんが。エレクトロニクスに近い技術系は、やはり中国が一番多い。台湾も悪くないですが、地域のサイズという面で、中国とは差がついています。

 中国はシリコンバレーの発想に近いですね。シリコンバレーにもコンシューマー系の会社はありますが、技術系の会社も多いです。Stanford UniversityやMIT(Massachusetts Institute of Technology)の研究を基にしたものとか。中国も似ています。TencentとかWeiboとかAlibabaもありながら、例えば材料を開発している会社とか、ヘルス系の会社とか、ロケット系のUAV(Unmanned Aerial Vehicle)を作っている会社などがあります。

中国予選の様子(写真:Fenox Venture Capital)
中国予選の様子(写真:Fenox Venture Capital)
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