――AIは医療にどのような未来をもたらすと見ていますか。

 世界中どこにいても、平等な医療が受けられる。我々はそんな世界の実現に貢献したいと考えています。地域によって医療環境が異なり、受けられる医療の質に格差があるという現状は、健全ではないと思います。

 医療にもっと定量的な評価軸を導入し、それを平等な医療の土台とする。そこにAIが果たす役割は大きいはずです。

 AIは“医師の仕事を奪う”とも言われますが、我々にはそんなつもりは毛頭ありません。画像診断領域では、放射線科医も病理医も日本では特に大幅に不足しており、このままでは現場が立ち行かないのは明らかです。“来るべくして来る世界”に備えているだけ。我々としてはそんな感覚でいます。

 医療は、最後は医師が責任を持つという世界。そこが、究極的には完全自動化が目標とされる自動運転とは異なる点でしょう。完全な自動化は求められないという点で、AIにはむしろ自動運転よりも医療が良くフィットするのではないかとも感じます。

 我々が開発した診断支援システムが、例えば専門医が不在の街中のクリニックなどで使われるようになればいいですね。そうした形で、例えば1次読影はすべてAIに任せられるような世界が来ることが望ましい。それによって医師の負荷軽減や医療費削減につなげられればと思います。

会社ロゴの前で
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