インド工場は未来のショールーム
パワーエレクトロニクス事業のグローバル戦略の要になるインドの新工場に関しては、再エネが大量に普及した時代に向けたショールームの役割も担っている。
新工場建屋の屋根上には、出力930kWの太陽光パネルを設置し、自家消費するとともに余剰分を電力系統に供給している。2018年4月には蓄電池システムとそれを制御する「TMBCS(TMEIC蓄電池コントロールシステム)」を導入し、太陽光と蓄電池を統合制御する「エネルギー循環型工場」の実証モデルとして運用していく計画だ。
同工場は、屋根に太陽光を設置しつつ、天窓を設けて「明り取り」とし、省エネと再エネを両立した。加えて、蓄電池システムを導入することで、停電時の対応に加え、太陽光を最大限に自家消費し、ゼロエミッションを目指せるシステムにした(図7)。
これはもちろん停電の多いインドでも、安定的に事業を継続できる効果も大きいが、「将来、インドでも再エネが大量に導入された場合、太陽光と蓄電池と需要を最適に制御して需給バランスを維持するスマートグリッドが必要になる。その際に、インド工場が先端モデルとして活用できる」(菊池副社長)との狙いもある。
世界的に太陽光や風力という自然変動電源が再エネの大きなシェアを占めることが明らかになってきたなか、太陽光に続き、パワーエレクトロクスの次の巨大市場は蓄電池システムになる可能性がある。インドの新工場は、次時代の市場開拓も見据えている。
将来的にも、米国とインドは、太陽光発電設備の主要市場であり続けることは間違いない。地域資源である再生可能エネルギーに関連したビジネスでは、地域に根付き、地域に合ったスタイルで、地域の人々と共に展開していくことが重要になる。TMEICの現地工場が、その第一歩となりそうだ(図8)(図9)。