「セル」と「ライン」を使い分け

 TMEICのPCS工場では、1.667MW機を含め、それ以上の大容量機はセル方式、それより小さい容量の機種はライン生産を採用している。これは国内外とも共通している。

 米国の新工場では、2.7MW機と3.2MW機を生産しているため、セル生産方式を採用している。6人で1チームを組み、1台を4日で生産している。セル方式では、1人が多くの種類の組み立て作業を担うため、熟練した多能工が求められる。海外でセル生産方式を立ち上げる場合、こうした工程を担える人材の育成が課題となる(図2)。

図2●米国新工場では2.7MW機をセル方式で生産
図2●米国新工場では2.7MW機をセル方式で生産
(出所:日経BP)
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 11月2日のオープンセレモニーでは、来賓にも生産現場を公開され、セル生産の様子を見学できた。そこでは、各チームに1つのディスプレイが置かれ、部品や部材の組み立て手順が3次元CGのアニメーションで映し出されていた(図3)。

図3●組み立て手順を3次元画像で確認できる
図3●組み立て手順を3次元画像で確認できる
(出所:日経BP)
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 この「アニメ」は普段は作業者の側に向けて置かれており、組み立て作業中に手順を確認するために使われる。手順に迷った場合でも、いちいち人に聞かずに確認できるので、たいへん好評という。CAD(コンピューターによる設計)による製品設計の際に使った画像を2次利用して制作したものという。米新工場は稼働してすでに約3カ月経つため、多くの従業員は作業に慣れ、ほとんど画像を見なくなっているという。

 また、海外工場の場合、ハーネス(配線)のケーブルを現場で切断して接続する必要がないよう、事前に適切な長さにしておくなど、より手間のかからない作業手順に変更している点もあるという。

 こうした工夫に加え、そもそも米国工場では、日本の工場に比べ、相対的に生産品目を絞り込んでいることもあり、「すでに従業員の生産性は日本の工場と比べても、同水準までに熟練している」(TMPEの吉村社長)という。