リチウムイオン蓄電池やP2G(パワー・ツー・ガス)などのストレージ設備を設置する動きが世界各国で活発化してきた。日経BP総研クリーンテック研究所がこのほど発行した調査レポート『世界再エネ・ストレージビジネス総覧』 によると、(1)再生可能エネルギーの増加に伴う系統安定化や余剰問題の深刻化、(2)ストレージコストの低下、(3)バリューチェーンの形成と付加価値の高いビジネスモデルの考案、という3つの要因が理由として挙げられる。

  太陽光発電や風力発電システムなど再生可能エネルギーの導入量が増えると、系統網の周波数や電圧が秒・分単位で変動する「短周期変動」と、時間単位で変動することで需給バランスが崩れたり、ローカル系統の熱容量を超えたりする「長周期変動」という2つの問題が顕在化してくる。

 これまでこれらの問題については主に、短周期変動については火力発電所の回転機、長周期変動については揚水発電、ローカル系統問題に関しては送変電設備の増設などで対応してきたが、さらなる新設はハードルが高い。このため再エネ電力を貯め、変動を吸収できるストレージに期待が集まってきた。こうして、各種ストレージシステムの特徴を生かしたプロジェクトが世界でスタートしている(表1)。

表1●主要プロジェクトの採用ストレージ技術と目的
(出所:「世界再エネ・ストレージビジネス総覧」)
表1●主要プロジェクトの採用ストレージ技術と目的
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