新ビジネスモデルを模索

 災害対応のプロジェクトに対しては、政府や自治体が住民サービスのために補助金を支給するケースが多い。ただし、実証後の実ビジネスフェーズにどう移るかについての明確な回答はまだない。

 一方「需要家施設内マイクログリッド」については、ビジネスモデルを構築する動きが出てきた。例えば、米国の大手電力会社であるDuke Energy社は、フランスの大手電機メーカーのSchneider Electric社の米国法人と共同で、マイクログリッドをサービスとして提供する新しいビジネスモデルであるMaaS(Microgrid As A Service)に取り組んでいる。

 Schneider米国法人の本社ビル「BOC(Boston One Campus)」を需要家設備と想定し、蓄電池や制御システムなどのマイクログリッド設備をDuke Energy社の保有するTPO(第三者保有モデル)で構築する。

 太陽光発電システムは米REC Solar社が提供する。初期投資がない分Schneiderは、Duke Energyと13年間のPPA(電力購入契約)を結び、太陽光発電システムが発電した電力を、エネルギーベース(kWh)で購入する。さらに、レジリエンスが高まった分のレジリエンスチャージはPPA料金に追加して支払うモデルである。

 Duke EnergyとSchneiderは、MaaSモデルを実ビジネスとして展開し始めている。

 顧客は米メリーランド州モンゴメリー郡であり、同郡が保有する公共施設である公共安全本部と刑務所にマイクログリッドを導入した。これらの設備は、郡の警察、消防署、救急サービス、緊急事態管理、国土安全保障局(OEMHS)などの重要な部署が含まれるため、非常時でも電力を安定供給する必要があった。

 このため、両設備に合計2MWの太陽光発電とコージェネレーション(熱電併給)システム2基などのマイクログリッド設備を導入し、2018年までに稼働させる計画だ。これらの設備はDuke Energyが保有し、モンゴメリー郡とPPAを結ぶ。Duke Energyにとっては、これまでの大規模集中型から分散電源中心のビジネスモデルに変換する一手段ととらえている。