秒単位の応答で周波数の安定化も

 加えて、NAS電池による蓄電システムは、離島に導入したLiイオン電池と同様、秒単位の充放電が可能なことから、系統の周波数調整機能についても、検証する。

 電力系統は、需給の不均衡によって、周波数が変動している。中央給電指令所では、LFC(自動周波数制御)によって、系統周波数の変動を検知してLFC機器(揚水発電、火力発電)に指令を出している。

 今回の実証では、こうした中央給電指令所で運用している既存のLFCと大容量蓄電システムを連係させ、その効果を検証する。具体的には、ほかのLFC機器との制御量の分担状況を計測し、機能性を検証するという。

 系統に連系する大容量蓄電池システムは、その導入の第一の目的は、太陽光の大量導入で生じた火力発電の「下げ代不足」対策にある。ただ、実際に下げ代が不足するのは、春と秋の昼間軽負荷期に集中することも予測され、当面、蓄電池の稼働率は必ずしも高くない。

 ただ、大容量蓄電システムの持つ、系統電圧の制御機能やLFCと連係した周波数制御の効果が明らかになれば、既存設備への代替により、投資を抑制でき、蓄電池システムの事業性を高められる可能性も出てくる(図9)。

図9●NAS電池は周波数の安定化にも活用する
図9●NAS電池は周波数の安定化にも活用する
(出所:日経BP)
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