「システム効率70%以上」を確認

 現在、実施中の実証運転では、「定格出力5万kWで6時間」という巡航運転のほか、太陽光の出力に合わせ、定格の4分の1~4分の3での充電など、きめ細かい充電制御や、逆に、18~21時の点灯ピークの3時間に定格を超える10万kWを放電するなど、需要に合わせた柔軟な放電制御が可能なことを検証する。

 また、電力供給業の事業性の観点からは、「システム効率」が重要になる。この検証も大きなテーマだ。システム効率とは、充電した電力のうち何割を放電できるかを示す。損失分は、電気料金として回収できないため、経営的に損失になる。

図4●東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製のPCS
図4●東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製のPCS
(出所:日経BP)
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 今回の実証事業では、蓄電池システムの公募要件として、「システム効率70%程度以上」を要求している。九電によると、導入当初、シミュレーションによって効率70%以上となる見込みを確認し、今年度上期の実証運転では、複数の運転パターンにおいて、すべてのケースで効率70%以上を確認したという。

 加えて、さらなるシステム効率の向上策も検討している。充放電量の少ない時間帯については、蓄電池とパワーコンディショナー(PCS)の稼働台数を減らし、エネルギー損失を最小化する機能を追加する予定だ(図4)。実証試験でその効果を検証する。