太陽光の出力抑制量の削減に貢献

 豊前蓄電池変電所は、今後、予想される太陽光への出力抑制量を減らす効果を期待されている(図3)。一方、同時期に東北電力が福島県南相馬市に稼働した大容量蓄電池システム(容量4万kWh、出力4万kW)の場合、それによる需給改善効果を「30日等出力制御枠」の拡大に活用し、福島県内の再エネ発電事業者に優先的に割り当てることにした(関連記事)。

図3●コンテナ型蓄電池が252台も立ち並ぶ(豊前蓄電池変電所)
図3●コンテナ型蓄電池が252台も立ち並ぶ(豊前蓄電池変電所)
(出所:日経BP)
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 出力抑制の発動が差し迫ってきた九電管内では、大容量蓄電池による需給改善効果を管内の太陽光発電事業全体に還元するという狙いがある。

 豊前蓄電池変電所の運転パターンは、太陽光発電の出力が伸び始める9時頃から15時頃までの6時間程度、火力の下げ代対策として充電し、太陽光が発電しない夕方(18~21時頃の点灯ピーク)や、明け方(2時~6時頃)に放電するというスケジュール制御が基本となる。蓄電池容量を30万kWhにしたのは、最大出力5万kWで6時間、充放電することを想定した。

 既述した今年5月4日の需給バランス制御では、揚水発電の動力運転が、こうした蓄電池の運転パターンに近い役割を担っている。逆に言うと、九電管内では、豊前蓄電池変電所の稼働により、揚水発電の下げ代対策としての能力が、既存の219万kWから224万kWに増え、太陽光への出力抑制が30万kWh分、回避されることになる。