産業用ニーズに対応、パッケージでコストダウン

 橋本氏によると、大型蓄電池で系統安定化するうえで信頼性の高いシステムが構築できたと評価されており、これをフックに受注を拡大していく考えだ。「再エネが今後増えるに伴い、系統安定化をサポートする大型蓄電池のニーズは増えていく」(橋本氏)と見ている。

 さらに、工場や病院など大型需要家サイドでも、分散型の蓄電池を使って需要ピークをカットするニーズは高まってくる。「大型蓄電池と分散型蓄電池の両面で蓄電池ニーズは高まることから、いずれの用途でも対応していきたい」(橋本氏)という。

 当面の需要には、現在同社が保有するLiイオン電池工場で対応していく考えという。現在同社は、三菱商事と三菱自動車工業と共同で出資して設立したリチウムエナジージャパンの栗東工場で主に電気自動車やプラグインハイブリッド車向けの生産工場を持っている。生産能力は約1000万セルだが、ラインの組み換えなどで産業向けにも転用できるという。

 このほか、京都に約100万セルの産業向けLiイオン電池の工場を保有しており、「今後の産業分野の需要ニーズには十分応えられる」(橋本氏)とみる。

 系統安定向けの大型蓄電池のニーズは、海外でも今後高まることから、今後同社は、チリ以外でも積極的に拡販していく考えだ。そのためには、コストダウンが重要であり、「安定した受注を獲得して生産規模を確保すると共に、蓄電池とパワコンを一体化してコンテナなどに収容し、システムを標準化することにより、用途ごとに簡単に設置できるようなパッケージを開発して海外展開を進めたい」(橋本氏)考えだ。