稚内のデータを使ってシミュレーション

 蓄電池の容量は6.75MWhとしたが、これは「出力変動1%以下/分という要請を満たすうえで必要な容量をシミュレーションで導き出した」と、GSユアサ産業電池電源事業部システムエンジニアリング本部副本部長の橋本秀実氏は語る。

 シミュレーションでは、北海道電力と稚内市が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受けて2006~10年にかけて行われた実証プロジェクト「稚内メガソーラー」で発表されたデータを活用したという。同プロジェクトでは、出力5.02MWのメガソーラーが導入され、出力変動が問題となったため、1.5MWのNAS電池を使って充放電を行うことで出力を平滑化する制御技術が開発された。

 連系出力14.5MW、太陽光パネルの容量17.9MWの過積載としている。蓄電池のパワコンの定格出力は10MWとした。14.5MWの太陽光出力を10MWの蓄電池で制御するため、もし14.5MW変動した場合、蓄電池ではカバーし切れないが、シミュレーションにより、許容範囲にあると判断した。

 充放電特性については、出力変動に対応して高速で充放電を行う必要があるために、C(Capacity)レートで「1.5Cまでの充放電特性が必要だった」(橋本氏)という。Cレートとは、公称容量に対して、どの程度の容量が充放電できるかを示す値で、2Cならば公称容量に対して2倍の容量が充放電できることを示す。このため同社は、余裕をもって、最大で6C放電(図2)、2.5C充電(図3)が可能な高エネルギータイプの「LIM50EN」(図4)を採用した。

図2●高エネルギータイプの産業用Liイオン電池シリーズ「LIM50EN」の放電特性
図2●高エネルギータイプの産業用Liイオン電池シリーズ「LIM50EN」の放電特性
(出所:GSユアサ)
[画像のクリックで拡大表示]
図3●「LIM50EN」の充電特性
図3●「LIM50EN」の充電特性
(出所:GSユアサ)
[画像のクリックで拡大表示]
図4●「LIM50EN」外観
図4●「LIM50EN」外観
(出所:GSユアサ)
[画像のクリックで拡大表示]