休日を使いマイクログリッド運用に実証

 きんでんは、こうした運用制御を確立するため、休日に数回、外部系統から構内系統を遮断し、実際にマイクログリッドでの運用を実証した。

 太陽光を連系した自立運転で、最も難しい制御を求められるには、太陽が頻繁に雲間に入り、短周期で出力が変動する場合だ。「マイクログリッド運用を実証した休日の1日は、たまたまそうした太陽光の出力変動の激しい日だったが、NAS電池がそれを打ち消す形で充放電させ、安定した品質の電力供給に成功した」(きんでん・技術本部の東竜也・大阪エンジニアリング部次長)という。

 電力系統の需給調整のために蓄電池を活用する場合、蓄電池のPCSに充放電の指令を出す際の指標は、系統側の周波数か電流、電圧になる。きんでん本社のシステムでは、構内系統の電流値を指標にして、制御しているという。その結果、需給バランスを維持し、周波数と電圧の変動を、電気設備の利用に支障のない範囲内で運用できたという。

 きんでんは、新エネルギーに積極的に事業展開している。風力発電設備の建設工事に早くから取り組み、太陽光発電に関しても、工場やビル・庁舎、スタジアムなどへの設置を中心に全国で800件以上、合計出力1400MW以上の納入実績がある。

 加えて、蓄電池システムを含めた需要家の電源システムをトータルで提案する体制やノウハウの蓄積を目指している(図6)。背景には、「東日本大震災以降、社会を取り巻くエネルギー事情が変化し、BCP対策や再生可能エネルギーなどに対する機運が高まってきたことから、太陽光と蓄電池のニーズが、都市部の需要家にも高まっている」との見方がある。

図6●きんでんの太陽光発電関連のトータル技術(出所:きんでん)
図6●きんでんの太陽光発電関連のトータル技術(出所:きんでん)
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 国内で初めて、屋外型の中容量NAS電池と太陽光の連係制御に成功したことから、こうした都市部の中小ビルにおけるBCP対策に対し、実運用のデータをもとに最適なシステムを提案できるとしている。また。今後、設置スペースに限りのあるビル向けに屋内型NAS電池の開発についても、日本ガイシと連携して製品化していく予定だ。