夜間に充電して昼間に放電

 一方、太陽光発電システムは、これまでも本社ビルに数kWを運用していたが、これを機に屋根上に新たに30kWのシステムを導入した(図4)。FITを活用して売電せず、全量を自家消費する。太陽光パネルはシャープ製を採用した。

図4●きんでん本社の屋根上に設置した30kWの太陽光パネル(出所:きんでん)
図4●きんでん本社の屋根上に設置した30kWの太陽光パネル(出所:きんでん)
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 蓄電池と太陽光発電システムは、交流400Vの構内系統に別々に連系した。NAS電池から放電する時は、直流200Vの出力を蓄電池専用の双方向型パワーコンディショナー(PCS)で交流400Vに変換して連系する。逆に充電時は交流400VをPCSが直流200Vに変換して蓄電池に入力する。太陽光パネルからの直流はPCSで交流400Vに変換し連系する。

 蓄電池用PCSは日新電装製、太陽光パネル用PCSは安川電機製を採用した。

 運用方法に関しては、平常時は、夜間電力の利用によるピークシフト対策、災害時にはBCP対策の非常用電源として活用する。

 ピークシフトは、夜間に蓄電池に充電し、昼に放電するスケジュール制御が基本となる。きんでんの本社ビルのピーク需要は600kW台。昼に放電することで受電量を50~100kW程度下げるなど、運用を工夫することで400kW台まで下げることを試みる。実際の需要ピークは冬になるため、年間を通じて実証運用した後、契約電力を下げられれば、電気代の削減につながる。

 30kWの太陽光発電は、晴天であれば22~24kW程度の出力がある。本社ビルは土日でも日中100kW程度の需要があるので、受電分の代替で全量を消費でき、関西電力の系統には逆潮しない仕組みにした。