きんでんは今年2月25日、大阪市北区の本社ビルに定置型蓄電池と太陽光発電システムを導入した。出力180kW、容量約1MWhの日本ガイシ製NAS(ナトリウム硫黄)電池と、出力30kWのシャープ製太陽光パネルを屋根上に設置した。屋外型中容量のNAS電池を導入したのは、国内では初めてのケースになるという(図1)。

図1●大阪市のきんでん本社ビルに設置したNAS電池(出所:きんでん)
図1●大阪市のきんでん本社ビルに設置したNAS電池(出所:きんでん)
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社内WGで蓄電池と直流配電の事業性検討

 平常時にはピークシフトによって電力需要を平準化し、災害時にはBCP(事業継承計画)の一環として自立運転して電力を供給する。独自の制御ソフトを開発して、実証的に運転し運用ノウハウを蓄積することで、今後、顧客向けの蓄電池システム構築に役立てる。

 同社が蓄電池システムの実証導入に踏み切るきっかけは、2012年11月に設置した社内ワーキンググループ(WG)にさかのぼる。同年7月に固定価格買取制度(FIT)がスタートし、太陽光発電所の急激な導入が予想されていた。

 太陽光発電の特徴は、出力の変動が大きいことと、直流で出力すること。社内から「近い将来、電気設備工事の分野に、蓄電池システムと直流配電システムのニーズが高まるのではないか」との見方が出始め、10人程度の社内の専門家を集めたWGで調査検討し始めた。

 「蓄電池や直流配電システムは、これまでにも何度かブームがあったが、結局、広まらなかった」という懐疑的な見方と、「FITによる太陽光の大量導入で、今回は本格的に普及するのではないか」との見方もあった。社外の専門家にもヒアリングするなど、約1年半をかけて、結論をまとめた。