システム効率は70%以上

 今回、設置した蓄電池システムは、東芝製のLiイオン蓄電池「SCiB」を搭載している。東芝は、蓄電池のほか、系統連系用変圧器、昇圧用変圧器、蓄電池用PCSなどを納入した。蓄電池用の双方向型PCSは、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)が製造した。

 Liイオン電池のセル(素子)は、1つで2.3V、23Ahの能力を持つ。24セルで蓄電池モジュールを構成し、蓄電池盤には22モジュールを内蔵している(図4)。蓄電池コンテナには26面の蓄電池盤を収納した(図5)。つまり、1つのコンテナ(長さ約9mの30フィートコンテナ)に1万3728個のセルが内蔵されていることになる。

図4●手前がLiイオン蓄電のセル、奥が24セルからなるモジュール
図4●手前がLiイオン蓄電のセル、奥が24セルからなるモジュール
(出所:日経BP)
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図5●コンテナ1台には26面の蓄電池盤を収納
図5●コンテナ1台には26面の蓄電池盤を収納
(出所:日経BP)
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 蓄電池の選定にあたり、その要求仕様として、秒単位の応答特性を持つこと、適性稼働率におけるシステム効率が70%以上であること、という性能が求められた。東芝製のLiイオン蓄電池は、こうした要求を満たすと評価された。

 40MWh分の蓄電池盤をどんな形で設置するかに関しては、安全性や設置コストなどの観点から検討した。筐体ごとに分散設置する現行の方式のほか、大きな建屋の中に一括して設置する方法も、選択肢となった。最終的に「汎用的なコンテナを使い、多数台、並べる方式が、安全性やコストなど総合的に利点が大きい」(東北電力)との結論になった。

 PCSのコンテナに際しては、コンクリート基礎に鋼製の架台を組み付けて1mほどの高床にし、その上にコンテナを固定した(図6図7)。これは、雨水や海水の浸水への備えではなく、配線工事の作業を効率化するためという。立地上、浸水のリスクはないという。

図6●PCSは高床の架台に設置した
図6●PCSは高床の架台に設置した
(出所:日経BP)
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図7●双方向型PCSは東芝三菱電機産業システム(TMEIC)が製造
図7●双方向型PCSは東芝三菱電機産業システム(TMEIC)が製造
(出所:日経BP)
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