120台のコンテナ、20台の昇圧器が並ぶ

 南相馬市の市街から国道34号線で、南相馬変電所に向かうと、ゲートのすぐ近くに巨大な鉄塔がそびえている。これは50万V級変電設備で、東京電力との連系線につながっている。その奥には、東北電力の原町石炭火力発電所につながる27万V級設備と、南相馬市街や富岡町に電気を供給する6万V級(66kV)設備がある。

 大容量蓄電池システムは、27万Vエリアに隣接した未利用地、約8500m2に建設した。50万V級エリアはやや高台になっていて、その上に登ると、120台ものコンテナ、20台の昇圧変圧器などから構成する大型蓄電池システムが一望できる(図3)。

図3●両端に蓄電池、間にパワーコンディショナー(PCS)と昇圧器を並べた
図3●両端に蓄電池、間にパワーコンディショナー(PCS)と昇圧器を並べた
(出所:日経BP)
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 ここ数年、九州などの離島にメガクラスの蓄電池システムを導入し、太陽光や風力による周波数変動対策に活用する例が出てきた。その場合も、コンテナに収納することが一般的だが、せいぜい2~3台。100台を超えるコンテナが並ぶ光景は圧巻だ。

 120台のコンテナのうち、蓄電池を収納したものが80台、パワーコンディショナー(PCS)を入れたものが40台となる。蓄電池は直流500Vを出力し、PCSが交流300Vに変換する。交流300Vの電流は20台ある昇圧変圧器が6000Vに昇圧し、主要変圧器がさらに6万V(66kV)に昇圧して特別高圧線(66kV)に連系する。蓄電池に充電する場合はこれと逆の流れになる。

 蓄電池の充放電は、蓄電池統括制御盤(MC)が全PCSを統合的に管理している。東北電力の中央給電指令所は、MCに対して制御指令を出す。並行して、原町技術センター制御所が、蓄電池の状態を監視制御しているという。