水力と協調したLFC制御で成果

 2017年1月20日に開催された今回の実証事業に関する「第三者委員会平成28年度報告」に提出された資料によると、これまで以下のような成果があったという。

 蓄電池のシステム効率に関しては、「稼働1年を経過した後でも、全バンクとも初期性能と同じ70%以上の効率を確認した」という。放電容量、効率とも、初期性能との有意差はなく、顕著な劣化は生じていないという。

 短周期変動対策のうちLFCに関し、「水力発電への影響についてスペクトル分析を行い、蓄電池の制御効果を確認した」という。北電では、現在、北本AFC(北海道・本州間連系設備による自動周波数調整機能)→系統蓄電池→水力発電→火力発電、という動作順位で、短周期変動の抑制制御を行っているが、系統蓄電池を含め、各調整力が協調できていることを確認したという(図11)。

図11●「負荷周波数制御(LFC)」のイメージ
図11●「負荷周波数制御(LFC)」のイメージ
(出所:北海道電力)
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 また、長周期変動対策に関しては、「定格出力15MW程度の風力発電所を対象として、蓄電池出力で発電出力の長周期変動を抑制できることを確認した」という。加えて、「7~10月の昼間2時間を対象としたケースで、各風力発電所の予測値と実績値から蓄電池の必要出力・容量を分析した結果、南早来変電所の蓄電池では、20MW程度の風力発電所まで対応できることが分かった」としている(図12)。

図12●「長周期変動抑制制御」のイメージ
図12●「長周期変動抑制制御」のイメージ
(出所:北海道電力)
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 下げ代不足対策に関しては、「特別高圧連系の風力や太陽光の合計出力を対象として制御し、対象発電出力の余剰分を充電し、発電出力が減少したタイミングで放電できることを確認した」という(図13)。

図13●「下げ代不足対策運転」のイメージ
図13●「下げ代不足対策運転」のイメージ
(出所:北海道電力)
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 短・長周期ハイブリッド制御に関しては、「定格出力10MW程度の風力発電にハイブリッド制御を適用し、蓄電池出力で短・長周期変動を抑制できることを確認した」という。

 北海道電力では、今回の実証データなどを活用し、系統蓄電池による風力の導入可能量の引き上げを検討し、今年3月に360MWhの蓄電池の設置(共同負担)を前提に600MWの風力発電設備の新規連系枠を募集すると公表している。