130本の巨大なタンク

 南早来変電所は、苫小牧や苫東厚真の火力発電所、遠くは日高系水力発電所から180kV以上の高圧で送られてきた電力を66kVに下げて札幌や帯広に送電している。北海道経済の中枢を支える重要な役割を担っている。

 変電所に近づくと、地平線をバックに鉄塔が林立する。敷地内に入り、送電線の下を潜り抜けると、鉄塔にも引けを取らないほど巨大な白い建物が見えてくる。全長120m、幅35m、高さ20mの建屋で、小中学校の体育館の4倍程度の規模になるという。

 この建屋に60MWhもの「レドックスフロー電池」が据え付けられている。中に入ると、直径3m・高さ7mの巨大な「電解液タンク」が、ぎっしりと並ぶ。タンクは全部で130本。銀色の保冷材に覆われているので、ライトに照らされて光っている(図3)。

図3●電解液タンクが林立する
図3●電解液タンクが林立する
(出所:日経BP)
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 入り口に近いタンクには「タンク-5-E-正 劇物 硫酸バナジウム」と書かれている(図4)。レドックスフロー電池の電解液は、正極・負極とも硫酸バナジウム水溶液で、バナジウムイオンの価数変化により充放電している。

図4●タンクとセルスタックとの間を硫酸バナジウム水溶液が循環している
図4●タンクとセルスタックとの間を硫酸バナジウム水溶液が循環している
(出所:日経BP)
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