将来は正極・負極材も「ギガファクトリー」で製造

 蓄電池システムに必要な資材として、セルのほか、例えば、鉄の缶による正極材の容器もサプライヤーが「ギガファクトリー」内に進出し、製造を始めている(図4)。将来は、正極材と負極材も「ギガファクトリー」内で生産する方針を明らかにした。

図4●セル以外の資材も「ギガファクトリー」内でサプライヤーが生産する方針
図4●セル以外の資材も「ギガファクトリー」内でサプライヤーが生産する方針
左の鉄の缶は、すでに生産中(撮影:日経BP)

 このように、必要な資材を極力、同工場内で製造するという方針を掲げている。関連資材に関する関税や輸送費も不要となるなど、さまざまな理由でコスト低減につながるとしている。

 コストダウンには、セルの変更も寄与するとした。同社のEVでは当初、携帯機器向けなどで広く使われている「18650」(18mm×65mm)と呼ばれるセルを採用していた。これを、「2170セル」(21mm×70mm)と呼ぶ、一回り大きな新型セルに切り替えている。

 テスラとパナソニックが共同開発した仕様で、より高い性能の蓄電池を、より低いコストで実現できるとしている。すでに2017年1月から「ギガファクトリー」で量産しており、蓄電システムのほか、2017年に販売を開始したEV「モデル3」でも採用している。

 テスラの蓄電池システムは、まずEV向けに開発されたセルやモジュールを使っていることから、自動車に要求される厳しい安全基準を満たした製品で構成していると強調した。

 例えば、蓄電システムでは、自動車ほどの耐振動性や冷却機構は要求されないが、基本的に同じ考え方で設計している部分が多い。

 すでにEV向けに大量の蓄電池を使っているため、それを転用することで蓄電システムを高性能、かつ比較的安価に供給できる利点があるとしている。