図1●テスラモーターズジャパンのカート・ケルティ氏
図1●テスラモーターズジャパンのカート・ケルティ氏
同社のDirector, Tesla Energy(撮影:日経BP)
図2●講演中の様子
図2●講演中の様子
関心が高く、立ち見の聴講者も(撮影:日経BP)
 電気自動車(EV)・蓄電システムメーカー米テスラの日本法人、テスラモーターズジャパンのカート・ケルティ氏(Director, Tesla Energy)は7月7日、「PV Japan 2017」(7月5日~7日、パシフィコ横浜で開催)で蓄電池事業について講演し、産業用システムや、太陽光発電などの出力変動対策向けシステムなどの現状を明らかにした(図1~2)。

 テスラはEVのほか、EV向けを応用した住宅用と産業用の蓄電システムを展開している。さらに、2016年後半には、太陽光発電関連を手掛ける米ソーラーシティ(SolarCity)を買収した。

 これによって、太陽光発電の電力を家庭用蓄電池に貯めたり、EVに貯めて走ったりといったシステムの構築を、グループ内で提供できる体制となった。

 同社は、蓄電池のセル(充放電素子)からモジュール(複数のセルを接続してユニットに収めた単位)、最終製品となる蓄電システム(住宅用の「パワーウォール」、産業用のパワーパック)まで一貫で製造している。加えて、太陽光パネルでもセル(発電素子)から屋根一体型パネルまでの製造まで手掛け始めている。

 ケルティ氏はまず、蓄電システムの生産拠点について紹介した。同社が「ギガファクトリー」と呼ぶ拠点で、パナソニックと協力して蓄電システムを製造している(関連ニュース1)。

 米ネバダ州のスパークス郊外に立地し、同社の需要に応じて段階的に工場を建設していく。すべてが完成すると、年産能力は35GWh以上となる。敷地全体の約3分の1を使った第1期の建物は完成し、すでに量産を開始している。

 同社が「ギガファクトリー」の建設を決定したのは2013年。EVの製造・販売に関する将来の目標としていた年産50万台を実現するには、蓄電池の調達が難しくなると考えたためだった。

 当時、世界の全蓄電池メーカーの持つ生産能力を合わせても合計で年に約35GWhだったため、それをテスラ1社で使い切ってしまうことになる。2017年に販売を開始した「モデル3」の場合、これを年50万台生産すると、35GWhさえ超えてしまう。