送電網への投資負担を軽減

 送電事業者のウエスタンパワーにとっても、送電網の新規投資を減らせるメリットがある。太陽光発電設備が数多く建設されているアルキモスビーチはパース市の郊外にある。シナジーなどが持つ火力発電所からは離れているが、太陽光発電による送電需要が拡大すれば送電網の増強を迫られる。蓄電池に投資しても、地域で太陽光発電を有効利用できれば、送電網の拡張・整備コストを削減できるという。

 そのため、ウエスタンパワーを所有する西オーストラリア州政府は同プロジェクトに対し、政府系再エネ推進機関であるARENAと共同で670万豪ドル(約5億7400万円)の補助金を拠出した。シナジーは実証を進め、ビジネスモデルの検証も行う。

 世界では、太陽光など比較的小規模な発電を家庭や地域で自家消費する分散型システムを広く活用する動きが顕在化し始めている。蓄電池の価格低下と合わせて有効活用を促進する技術やビジネスが進展するにつれ、大規模集中型システムからの移行は一層加速することになるだろう。