固定価格買取制度(FIT)が廃止または縮小してきた地域を中心に家庭や事業者が小型蓄電池を搭載するケースが増えてきた。しかし、蓄電池の価格が高いために本格普及するのは2020年以降になると見られている。そこで、大型の蓄電池を地域に設置して、需要家同士でシェアリングして使おうという実証実験がスタートし、ビジネスモデルを模索する動きが出てきた。銀行のようにアカウントを持って個人用蓄電池として運用できるほか、消費者同士で余った電力を融通し合う試みも始まった。

 電力会社の電力価格が上昇しているドイツやオーストラリアで、家庭に2~7kWhの小型蓄電池と組み合わせて太陽光発電を利用する試みが進んでいる。太陽光発電のコストが下がってきたことから、太陽光パネルで発電した電力を家庭などで直接、自家消費すれば、電力会社から購入するよりも電気代を安く抑えられる見通しが立ち始めたためだ。

 各家庭が導入した蓄電池からの余剰電力を集約して発電所のように運用して系統安定化などに役立てるVPP(バーチャルパワープラント、仮想発電所)によって付加加価値を上げる試みも導入を後押ししている。