“通帳”で電力の出し入れを管理

 ストロームバンクは、MVVエネルギーが所有する配電網内に蓄電容量116kWhのコンテナ型Liイオン蓄電池(図2)を設置し、それを地域の太陽光発電システムを所有する家庭14戸とコジェネレーション(熱電併給)システムを所有する4事業所で共有する。

図2●ドイツ・マンハイム市に設置された容量116kWhのコンテナ型のリチウムイオン蓄電池システム
図2●ドイツ・マンハイム市に設置された容量116kWhのコンテナ型のリチウムイオン蓄電池システム
(出所:MVV Energie)
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 プロジェクトに参加する家庭や事業所は、自分たちが所有する太陽光やコージェネで発電した電力を自家消費しつつ、自分たちで使い切れなかった余剰電力を共有蓄電池に一時的に蓄電しておく。そして、自家発電分だけでは不足するときは共有蓄電池から必要な電力を引き出して使う。電力の過不足を調整する蓄電池は、あたかもお金を融通する銀行(バンク)の役割を果たすわけだ。それぞれの家庭や事業所は銀行口座のようなアカウントを持ち、預金と同じようにそれぞれの蓄電量が逐次カウントされる。

 こうした利用形態が広がれば、需要家は初期投資額の大きい蓄電池を自前で購入する必要がなく、トータルのエネルギーコストの削減につなげられる。電力会社にとっても、最大需要に合わせた大型火力への投資を減らせるなど、設備投資の低減を期待できる。電力会社は、利用実態に合わせて蓄電池コストを需要家にどう負担してもらうかなど、新たな電力事業のビジネスモデルを模索している。