蓄電池とメガソーラーをリアルタイムに制御

 実証事業では、実際の需給予測の逼迫度に関わらず、毎週火曜日に九電が出力制御の指示を出すことにした。実際に行う出力制御の手順と同様に、前日に出力制御の時間帯と抑制量の30分ごとのスケジュールを配信する。

 従来、九電は、「壱岐ソーラーパーク」に対する出力制御御の指示を、発電事業者である壱岐開発に出してきた。今回の実証では、出力制御を実施する前日にアグリゲーターであるSBエナジーに指示を出す。

 SBエナジーは、これを受け、分散する蓄電設備の容量情報を収集し、出力制御の前日に、必要となる蓄電設備の空き容量を確保するための制御を遠隔で行う。さらに、出力制御を実施する当日には、最終的に確保した蓄電設備の空き容量分を差し引いた出力制御指令をリアルタイムでメガソーラー事業者である壱岐開発に出す。

 例えば、取材で隠岐を訪れた2月7日は、午前10時から11時30分の1時間半、メガソーラーの最大出力を「定格出力の20%(392kW)」という出力制御の指示が前日に出されていた。そこで、アグリゲーターは、この時間帯に蓄電池の空き容量を確保するように事前に放電制御しつつ、メガソーラーの出力を最終的に定格出力の32%(627kW)まで引き上げ、積み増した12ポイント分を蓄電池に充電するという制御を行った(図3)。

図3●「壱岐ソーラーパーク」に設置した東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製のパワーコンディショナー(PCS)(出所:日経BP)
図3●「壱岐ソーラーパーク」に設置した東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製のパワーコンディショナー(PCS)(出所:日経BP)
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