メガソーラーに対する出力抑制を回避

 壱岐島は、九州の北西沖、約80kmの玄界灘に浮かぶ離島。南北約17km、東西15kmでやや南北に伸びている。島の大部分は溶岩台地で、高低差が少ない。高い山がないため雲の滞留が少なく、日照時間や日射量は宮崎県に匹敵し、太陽光発電に向いている。

 このため固定価格買取制度(FIT)の開始を機に太陽光発電の設置が急増しており、接続申し込みは約10MWに達している。九州電力では、壱岐島における再エネの接続可能量(30日等出力制御枠)を太陽光5.9MW、風力1.5MWと算定している。

 2016年3月末、島内に1MW のメガソーラー(大規模太陽光発電所)が稼働したことで系統に接続済みの再エネ電源は6MWを大きく超えた。九電は同年4月と5月に計6回、2017年3月19日にも島内のメガソーラーを中心に出力制御の指示を出した。今後、さらに太陽光の稼働が増えるに従い、出力抑制の頻度は増えていく可能性が高い。

 今回のVPP実証事業は、経済産業省の「VPP構築実証事業」に間接補助事業者として、SBエナジーが採択されたもの。 同事業では、壱岐開発(壱岐市)の運営する出力1.96MWのメガソーラー「壱岐ソーラーパーク」に課せられる出力抑制分の電力を対象に実施した(図2)。

図2●実証の舞台となった壱岐開発のメガソーラー(出所:日経BP)
図2●実証の舞台となった壱岐開発のメガソーラー(出所:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]

 具体的には、九電から配信される「壱岐ソーラーパーク」に対する出力制御スケジュールを受け、SBエナジーは、対象となった時間帯に、島内に点在する蓄電設備に充電することで系統の需給バランスを維持しつつ、メガソーラーの出力抑制量を減らす。