分散する蓄電池を「束ねる」

 ソフトバンクグループで再生可能エネルギー事業を手掛けるSBエナジー(東京都港区)は2016年7月から2017年2月にかけて、長崎県壱岐島で、「バーチャルパワープラント(VPP=仮想発電所)」を構築・運用する実証事業を実施した。

 VPPとは、分散電源や蓄電池などの「分散型エネルギー設備(VER)」を、遠隔から統合制御することで、あたかも大型火力発電所の出力を制御するような効果を生み出す仕組み。太陽光や風力発電の大量普及によって、需給バランスが崩れやすくなっているなか、新たな系統安定化システムとして、世界各国で実証が始まっている。

 VPPでは、分散エネルギー設備を束ねて(アグリゲート)、統合制御する「アグリゲーター」と呼ばれる事業者が重要な役割を担う。SBエナジーは、アグリゲーターとして、住宅と事業所に設置した「需要家蓄電池」に加え、電気自動車(EV)に搭載された蓄電池を活用することで、メガソーラー(大規模太陽光発電所)に対する出力抑制を回避する遠隔制御システムを構築し、その運用に成功した(図1)。

図1●VPPの仕組みのイメージ(出所:SBエナジー)
図1●VPPの仕組みのイメージ(出所:SBエナジー)
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 「蓄電池への充電」という新たな電力需要を生み出すことで、予定されていたメガソーラーへの出力抑制を回避しても、需給バランスを維持できるようになる。