200kWhの鉛蓄電池を導入

 米子市役所本庁舎の西側出口には、長さ6mの白い20フィートコンテナが据え付けられている(図2)。出力50kW・容量200kWhの鉛蓄電池と蓄電池盤、パワーコンディショナー(PCS)などを収納した「パッケージ型蓄電池システム」だ。蓄電池は古河電気工業製、PCSは東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した。蓄電池本体と工事費は合わせて5100万円となった。

図2●市庁舎の敷地に据え付けた「パッケージ型蓄電池システム」
図2●市庁舎の敷地に据え付けた「パッケージ型蓄電池システム」
(出所:日経BP)
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 この蓄電池システムは、米子市とCATV会社の中海テレビ放送(米子市)を中心に企画した「よなごスマートライフ・プロジェクト」のなかで設置したものだ。同プロジェクトは、ICT(情報通信技術)を活用して、エネルギー・放送・通信の融合による「新たな生活価値の創出」を目的にしている。総務省のICT街づくり推進事業に採択され、交付金を得て、実施した。

 米子市と中海テレビなどは、2015年12月に地域新電力である、ローカルエナジー(米子市)を設立し、電力事業にも乗り出している。今回のプロジェクトは、地域新電力の将来的な新ビジネスの可能性も見据えている。

 具体的には、「エネルギー」「健康づくり」「防災・減災」の3つテーマを設定し、中海テレビの持つ既存のCATV網と、市庁舎に設置した蓄電池システム、モニター家庭30軒に設置したHEMS(住宅エネルギー管理システム)などを使い実証した。

 「健康づくり」では、約60世帯に健康測定センサー(活動量計、血圧計、体組成計)とタブレット端末を設置し、収集したデータを基に、活動量ランキングやPM2.5の数値などのメッセージをテレビ画面に表示するなど、住民の健康管理をサポートした。