年間160万円電気代削減

 大型蓄電池を市役所庁舎のピークカットに活用した場合の経済性に関しては、年間に約160万円と試算された。この場合の前提は、深夜電力を充電して、日中のピーク需要を下げることで基本料金を下げる効果を評価した。

 また、非常用電源としての活用に関しては、本庁舎の災害対策本部(第2応接室)と防災安全課事務室の電気機器に提供した場合、フル稼働時で33時間、一般的な活用であれば、2~3日間、供給できるという結果になった。

 この場合の前提は、200kWhの容量のうち、100kWhを日常的にピークカットに使い、残りの100kWhを非常用に確保しておくという運用を想定した。

 淀江支所に関しては、容量10kWh、出力10kWのLiイオン蓄電池と2kWの太陽光発電システムを導入し、避難所になる玄関ホールに電力供給できる仕組みにした。また、同支所には、電気自動車(EV)から管内の非常用コンセントに電力を供給できる「V2B」システムを駐車場に設置し、EVによる電力供給も可能にした(図7)(図8)。

図7●淀江支所の駐車場に設置したLiイオン蓄電池と「V2B」システム
図7●淀江支所の駐車場に設置したLiイオン蓄電池と「V2B」システム
(出所:日経BP)
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図8●淀江支所に設置した太陽光パネル
図8●淀江支所に設置した太陽光パネル
(出所:日経BP)
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 VPPはドイツも含め、現在、世界各国で研究・開発、そしてビジネスモデルの構築が模索されている。加えて、今回の実証事業で試みられた「健康づくり」の支援、そして防災・減災も含めたインフラやシステムが官民連携で実現できれば、ドイツのシュタットベルを超える最先端の地域インフラビジネスの先駆けになる可能性も秘める。