大型蓄電池システムへの期待が高まっている。出力の変動する太陽光発電の急速な普及によって、系統安定化のために不可欠になりつつあることに加え、導入コストの低下に伴い、企業が需要のピークカットに活用する動きも出てきた。メガソーラー(大規模太陽光発電所)向けパワーコンディショナー(PCS)で高いシェアを持つ東芝三菱電機産業システム(TMEIC)は、蓄電池システムを含めたソリューション事業を構築しつつある。

 東芝三菱電機産業システム(TMEIC)は、今後、有望な蓄電池システムの用途として、大きく3つの「問題」に対応するソリューションを提案している。いずれもメガソーラーを電力会社の系統に接続する際に顕在化する問題点を解決し、系統接続を実現するために蓄電池システムを活用する。

 その「問題」とは、(1)再エネの出力変動により、系統の周波数が影響を受ける「短周期問題」、(2)再エネの出力増により電力供給が需要を超えてしまう「長周期問題」、(3)ローカル系統が弱いため、接続容量が限られたり、工事費負担金が高額になったりする「熱容量問題」――。このうち(1)の短周期問題、(3)の熱容量問題への対応に関しては、前編でレポートした(前編記事)。

輪番制の出力制御を「肩代わり」

 将来的な蓄電池システムの用途として最も発展性が期待できるのが、(2)の「長周期問題」だ。これは、すでに東京・関西・中部電力管内を除いた全国で、顕在化している。

 5月など昼間の軽負荷期に発電量が需要を超える恐れから、経済産業省は、太陽光と風力の「接続可能量」を算定し、それを超えた認定案件には、無制限・無補償の出力制御が可能とするとの制度運用を発表した。特に九州電力管内では、認定量が1776万kW(2015年10月現在)に達しており、接続可能である817万kWを大きく超えていることから、将来的に出力制御を実施する可能性が高い。

 出力制御が実施された場合、サイト内に大容量の蓄電池があれば、その間、太陽光の発電電力で充電しておき、夜間に放電すれば、売電量のロスが防げる。しかし、一般的にこうした蓄電池の使い方では稼働率が低すぎ、投資対効果が合わないとみられる。