大型蓄電池システムへの期待が高まっている。出力の変動する太陽光発電の急速な普及によって、系統安定化のために不可欠になりつつあることに加え、導入コストの低下に伴い、企業が需要のピークカットに活用する動きも出てきた。メガソーラー(大規模太陽光発電所)向けパワーコンディショナー(PCS)で高いシェアを持つ東芝三菱電機産業システム(TMEIC)は、蓄電池システムを含めたソリューション事業を構築しつつある。

 西にびわ湖、東に伊吹山を仰ぎ見る滋賀県米原市。三友エレクトリック(米原市)は、この地に本社と生産拠点を構え、電源盤や電源装置などを製造している。従業員125人、売上高21億7000万円(2014年度)のEMS(電子機器製造受託サービス)企業だ(図1)。

図1●米原市にある三友エレクトリックの本社工場(出所:三友エレクトリック)
図1●米原市にある三友エレクトリックの本社工場(出所:三友エレクトリック)
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 同社は、本社工場に大容量のLiイオン蓄電池システムを導入し、12月17日に竣工式を開いた。蓄電池の容量は200kWh。日常的には電力需要のピークカットに使うことで電気代を削減し、災害時には非常用電源として活用する。従来、こうした大容量の蓄電池システムは、瞬停対策やBCP(事業継続計画)としての価値があるものの、設備コストが高いため、経費節減の観点から導入するのは難しかった。

 しかし、三友エレクトリックの杉島栄一社長は、「ピークカットによって契約電力を下げられ、電気代を削減できる。補助金制度も合わせれば、蓄電池の導入コストは10年以内で回収できる」と話す。同社の工場では、製品の試験などで一時的に大電流を使うことがあり、エアコンと併用する夏場など、需要ピークが500kWを超える恐れがあった。