2015年11月、九州電力の川内原発2号機は、原子力規制委員会の最終検査を終え、営業運転を開始した。新規制基準下での原発の営業運転は、川内1号機に次いで2基目。これで川内原発は、全国の原発に先駆け通常の運転態勢に入った。

 川内原発のある鹿児島県薩摩川内市には、九電の火力発電所(川内発電所)も立地しており、九州地域における基幹エネルギーの供給基地として重要な役割を担っている。民間企業によるメガソーラー(大規模太陽光発電所)も多い。

 九州電力は、同市と佐賀県玄海町を舞台に、2011年度から「スマートグリッド実証試験」を開始した(図1)。再生可能エネルギーの大量導入の行方を左右する重要なプロジェクトであり、成果を上げつつある。

図1●スマートグリッド実証試験・薩摩川内試験場(出所:九州電力)
図1●スマートグリッド実証試験・薩摩川内試験場(出所:九州電力)
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 太陽光など分散型の再エネが普及した場合、需給バランスが崩れて周波数が変動したり、配電網の電圧が上昇したりする恐れがある。従来、再エネの出力変動は、主に火力発電所の出力を調整することで、電力品質を維持してきた。だが、太陽光などが大量に普及した場合、火力発電所の対応だけでは限界がある。

 2014年9月末に九電に端を発した再エネの接続保留は、こうした背景がある。その後、再エネの接続可能量を算定し、それを超えた場合、電力会社は太陽光の出力を無制限・無補償で抑制できる、という仕組みが導入され、太陽光への投資意欲を削ぐことになった。