中国のディスプレー製造拠点は、これまでの沿岸部を中心にした地域から内陸部へ着実に広がっている。現在では、“中国版新幹線”の西の終着駅である成都でも有機EL(OLED)ディスプレーの生産が始まろうとしている。この成都で、2016年11月上旬に展示会とフォーラムが開催された(関連記事:中国内陸部へ広がるFPD産業、成都で専門フォーラム開催))。筆者はこの機会に成都および近郊地域の視察を企画し、実施した。その一端を紹介する。

鴻海ブースで存在感を示したシャープ

 「第16回中国西部国際博覧会」は全9館から成る巨大な展示会である。その中央に位置する5号館「電子信息館」の中央に台湾・鴻海精密工業(Foxconn)のブースがあった。そして、この鴻海ブースの半分をシャープが占めていた。展示していたのは、120型液晶ディスプレー、60~80型の大画面テレビ、さらには冷蔵庫、洗濯機や空気清浄機といった白物家電である。展示品には販売価格も提示されており、単なる技術・製品のアピールではなく、現実の商品市場を意識した実利的な展示である。

 直近では、これまでシャープが韓国Samsung Electronics社や中国Hisense社(海信)などに供給していたパネルの出荷を停止し、自社ブランドや鴻海グループへの供給を拡大する動きが報道されている。今回の成都の展示会で見えた鴻海とシャープの積極的な姿勢は、鴻海グループが目指す戦略の方向を明確に示すものといえそうだ。

図1 中国西部国際博覧会の中心となる電子信息館の中央に陣取り、シャープ製品を前面にアピールする鴻海ブース
図1 中国西部国際博覧会の中心となる電子信息館の中央に陣取り、シャープ製品を前面にアピールする鴻海ブース
(筆者が撮影)
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