風速に明確な線は引けない

 以上を分析すると、付近の最大瞬間風速が,30m/s超であっても他の建物については飛散の被害が生じていないことを判断要素として挙げ不可抗力免責を認めず、責任を肯定する裁判例が存します。一定以上の風速であれば不可抗力という明確な線を引けないことをご理解いただきたいと思います。

 考えてみると、メガソーラーは、20年間の売電を前提に設計されるものですから、20年間に発生が予測される強風に耐えられる設計であることが、発注者の合理的意思であると認められるケースもあろうかと思います。

 他方で、強風には耐えられないが、維持管理をしっかりと遂行していく事により、初期コストを押さえ、維持管理費用も加味した上で、結果的に売電による利益を確保するというメガソーラーもあるでしょう。発注者が、この事実をしっかりと認識して、維持管理に力を入れていくという方針であれば法的問題になりません。

 重要なことは、メガソーラー建築時の「契約条件」について発注者がしっかりと理解をし、発生する自然災害リスクに対してどのような方針(保険対応も含む)で臨むか、という 方針設定であろうと思います。

 メガソーラー事業者も、発注者に誤解無きよう、説明義務を含めた専門家責任を果たしておきたいところです。

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