EPC業者に損害賠償責任を追及できることも

 ところで、発電事業者が上記により、特許侵害によって損害を被った場合、発電事業者は、EPC(設計・調達・施工)事業者に対して損害賠償責任を追及できるだろうか。

 EPC契約においては、多くの場合、以下のような表明保証条項が定められている。それゆえ、このような表明保証条項があれば、当該表明保証条項を利用して、損害賠償責任を追及できるだろう。

(表明・保証)

1 請負人は、注文者に対して、引渡時に本件発電設備が次の事項を満たしていることを保証する。

・第三者の特許権、実用新案権、意匠権、商標権、その他法令により保護される第三者の権利を一切侵害するものではないこと

2 前項に定める保証に違反することが明らかになったときには、注文者は、請負人に対して、請負人の責任および費用負担により、違反の是正又は是正費用相当額の支払いを請求することができる。

 他方、通常の瑕疵担保責任の規定しか約定されていないときには、問題状況はやや複雑になる。瑕疵とは契約違反の給付をいうものであるが、EPC契約で給付されるべき太陽光パネルについて、「適法な太陽光パネル」と理解したときには瑕疵になるが、約定した品番の太陽光パネルと理解したときには、契約通りの給付がなされたものと理解されるからである。

 このような問題を生じさせないためにも、上述したような表明保証条項は有効なリスクヘッジ規定であり、太陽光発電事業者側においては、積極的に採用したいところである。