法規制の動きを把握し、コンプライアンス実践を

 もっとも、ドローンによる撮影は、通常予期しない高所からの撮影が可能であり、公道上からは確認できないマンションの室内なども撮影が可能である点で、特別な考慮が必要であるといえるでしょう。

 したがって、通常、公道上からは見えないような高層マンションの室内の状況をドローンで撮影してしまった場合は、プライバシー侵害があるという法的評価もあり得るところではあります。

 しかし、損害賠償請求が認められる要件としては、ドローンの飛行に関して過失が認められる必要があり、この過失は、施工管理の一貫として工事現場でドローンを使用する際の一般的な注意義務に違反することを言うため、工事現場における施工管理のためにドローンを使用して、偶々プライバシー侵害と評価されるような被写体を撮影したとしても、あえて当該被写体を撮影したというような状況でない限り、通常、一般的な注意義務に違反したと評価される可能性は低いと考えられます。とはいえ、住宅地の方向にカメラを向けないようにするなど、十分に配慮すべきといえるでしょう。

 今後、メガソーラーの維持管理や建設工事の現場でドローンを使用していく中で、このような事前に予測できることのほか、想定外の問題が生じる可能性もあります。

 各現場での使用実績からドローン使用に際しての問題点を蓄積、集約していきドローン使用の際の注意点についてリスクチェックを行いながら常にコンプライアンスの意識を高めることが重要です。併せて法改正の動向を把握し、最新の法令に適合した正しいドローン使用に心がけていただきたいと思います。