「説明義務違反」が争点に
上記裁判例は、発電機を供給する会社の説明義務違反が問われた事案ですが、発電機を住宅設備として取り扱う請負業者においても、一般消費者たる施主に対し、その性能に関し実際と異なる説明をしてはならないとの注意義務を負いますので、本件事案においても、参考になりうるものと考えます。
そこで、上記裁判例の事案と本件事案とを比較すると、本件では、積極的に「一秒たりとも停電しない」との事実を説明しているわけではなく、「停電時にも自家発電を使用できる」との事実を説明しているに過ぎないともいえます。
そして、一時的に停電が生じるにせよ、自立運転に切り替えれば、「停電時にも自家発電を使用できる」わけですから、その説明内容に虚偽はない、といえそうです。
上記の考え方によれば、本件において、請負業者に説明義務違反は生じないことになります。
もっとも、上記1のとおり、自立発電の稼働には、手動による切り替え操作が必要となることが、一般消費者にとって常識とまで言えないことからすれば、トラブル回避の観点から、単に「自家発電=停電時も安心」ということのみを説明するのではなく、「停電時に自家発電を使用するためには、自立発電への切り替え操作が必要」と、説明することが望ましいと考えます。