今冬は大雪の気象情報が多くなっており、太陽光発電協会(JPEA)も、「太陽電池パネルからの落雪事故防止について」との注意喚起の告知をしています(関連記事)。大雪が降ると、設計・施工を担当し、すでに稼働している太陽光パネルから落雪し、隣地所有者の物件(もしくは施主自身の財物)を雪によって破損するケースも出てきます。

住宅屋根の太陽光パネルに積もった雪は晴れると一気に落ちることも
住宅屋根の太陽光パネルに積もった雪は晴れると一気に落ちることも
(出所:日経BP)
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 こうした落雪時の事故の場合、太陽光の施工事業者から「誰が誰に対して損害賠償責任を負うのでしょうか」という法律相談が寄せられることがあります。今回は、太陽光パネルからの落雪により近隣トラブルが発生した場合の法的責任について解説します。

落雪による損害はだれの責任か?

 まず、住宅街においては、隣地への落雪を完全に回避することは不可能です。そのため、屋根から落雪することそれ自体が、程度、状況を問わずに直ちに違法と評価されることはないと思われます。

 問題は、雪がある程度まとまって落ち、隣地の所有者もしくは施主の財物に対して、損害を及ぼす次元に達するような場合に、施工者としていかなる責任を負うか、ということです。

 ここでは、(1)施主から太陽光パネル施工者に対する請求、(2)隣地所有者から太陽光パネル施工者に対する請求、(3)隣地所有者から施主に対する請求、という3つのパターンが考えられます。以下で、それぞれの場合について、検討します。