本記事は、日本機械学会発行の『日本機械学会誌』、第119巻第1173号(2016年8月)に掲載された記事の抜粋(短縮版)です。日本機械学会誌の目次、購読申し込みなどに関してはこちらから(日本機械学会のホームページへのリンク)

 ガスタービンを主機としたコンバインド発電プラント(GTCC:Gas Turbine Combined Cycle Plant)の需要が世界的に旺盛である。負荷追従性に優れたガスタービンは再生可能エネルギーとの親和性も高く、水素燃料などCO2を発生させない非化石燃料にも対応できる。また、小型ガスタービンは分散型電源の牽引役としても期待されている。

発電用ガスタービンの現状

 GTCC発展の起点は、1984年12月に商用運転を開始した東北電力東新潟発電所3号系列のGTCCである。これはタービン入口温度(TIT)1154°Cの701D形ガスタービン3台と、蒸気タービン1台で構成された発電設備2系列(定格出力109万kW)で成り立っている。

 GTCCプラントは、ガスタービンとともにその排ガスで蒸気タービンも駆動する。東北電力東新潟発電所3号系列のLNG焚きGTCCの熱効率は48%以上(LHV基準)で、当時世界最高の熱効率を達成した。これを機に、世界で発電用高温ガスタービン開発が始まった。

 GTCCの熱効率はガスタービンのTITが高いほど向上するため、発電用ガスタービンのTITは年々上昇傾向にある。1500°C級G形ガスタービンによるGTCCの熱効率は59%(LHV基準)に達し、天然ガスを用いたCO2排出量は最新石炭火力の半分以下で、地球環境の点からも建設・運用が活発である。三菱日立パワーシステムズは世界初の1600°C級J形ガスタービンを開発し、国内では関西電力姫路第二発電所(運転開始2013年8月)と東京電力川崎火力発電所(同2016年1月)で1600°C級GTCCの商用運転を開始した。その熱効率は世界最高レベルの61%(LHV基準)を達成し得る。