はじめに:作品の意図とバックキャスティング
図1に示した「天気をこうかんするキカイ」の趣旨は、雨が降って外で遊べない地域と、乾燥して雨が降らない地域の天気を入れ替え、共に幸せになる道具が欲しいと解釈できる。まさに夢のキカイだが、これをバックキャストする作業は難航を極めた。第一にどのスケールで「天気をこうかんする」かだ。雨降りで遊べない子供たちのいる場所はグラウンド程度で、乾燥地帯で天気をこうかんするスケールも同程度と想定されるが、「天気」という現象は物理的により大きな範囲で生じるため、どう実現するか悩まされた。
第二の要因は、描かれた天気交換後の乾燥地帯での植物の生育状況である。雨が降って遊べないところを晴天にする時間スケールと、乾燥地帯に雨を降らせて植物を育成させる時間スケールを比べると明らかに前者が短く、子供たちの要望に応えても、乾燥地帯にこの絵のような効果を及ぼすには別の工夫が必要と考えられる。こうした状況を踏まえつつ、できる限り作者の意図や夢を壊さずに何ができるか考えたい。