本記事は、日本機械学会発行の『日本機械学会誌』、第120巻第1180号(2017年3月)pp.16-17に掲載された「機械系女子学生の現状」の抜粋(短縮版)です。日本機械学会誌の目次、購読申し込みなどに関してはこちらから(日本機械学会のホームページへのリンク)

 機械系女子学生の現状について語る前に、女性を取り巻く社会的な環境について話をしなければならない。

 2012年の統計データによると、女性の勤続年数は徐々に長期化傾向にあるが、管理職に占める女性割合は依然として低い。総務省発表の「労働力調査(基本集計)」によると、管理的職業従事者(公務及び学校教育を除く)に占める女性の割合は11.6%に留まる。女性管理職を役職別に見ると、厚生労働省発表の「賃⾦構造基本統計調査」では係長相当職の割合が最も高く14.4%となっている。上位の役職では女性の割合はさらに低く、課長相当職は7.9%、部長相当職では4.9%で、長期的には上昇傾向だが低い水準にとどまっている。

 2016年4月1日に、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」が施行された。それまでも、男女共同参画社会の実現へ向けた政府主導の多くの取り組みがあったものの、働く意思を持っているのに就業していない女性が約300万人に達し、指導的地位に占める女性の割合が先進諸国を大きく下回るなど、日本では女性の力が十分に発揮されてないことが問題視されている。同法は、女性の働く意思を生かして持続的成長を実現し、活力ある社会を維持していこうとする法律である。

* 女性活躍推進法
2015年8月28日成立。活躍したいと希望する全ての女性が個性と能力を十分に発揮できる社会の実現を目的とし、数値目標を盛り込んだ行動計画の策定・公表、女性の職業選択に資する情報の公表を事業主(国や地方公共団体、民間企業など)に義務付ける。常時雇用労働者が300人以下の民間企業などでは努力義務としている。

 また、政府は指導的地位に就く女性を増やすため「社会のあらゆる分野において2020年までに指導的地位に占める女性の割合を少なくとも30%程度とする」という数値目標を掲げている(2013年6月男女共同参画推進本部決定、2010年12月第3次男女共同参画基本計画を閣議決定)。ここでいう指導的地位は[1]議会議員、[2]法人・団体などにおける課長相当職以上の者、[3]専門的・技術的な職業のうち特に専門性が高い職業に従事する者、としている。

 このように、女性の活躍推進へ向けた社会的要請は高まっており、多くの企業が重要課題としている。しかし、現状では指導的地位に就く女性の割合は、多くの職種で10%を下回っていると考えられる。