本記事は、日本機械学会発行の『日本機械学会誌』、第119巻第1166号(2016年1月)に掲載された記事の抜粋(短縮版)です。日本機械学会誌の目次、購読申し込みなどに関してはこちらから(日本機械学会のホームページへのリンク)

 部品組み立て、重量物や柔軟物体の持ち運びなど、左右両手を協調させて作業するための身体機能は、自立した生活において極めて重要だ。脳卒中などで半身麻痺障害が残ると生活活動に大きく影響し、患者のQOL(Quality of Life)を著しく低下させ、家庭や社会にも重い介護負担を強いる。

 そこで、この両手協調作業機能のリハビリテーションに着目し、仮想現実技術とロボット制御技術を融合して「うながし型」リハビリテーションが可能なロボットシステムを開発した。使用者の注意を仮想空間での目的作業へ向かわせ、ロボットアームでの動作補助やガイドで多様な協調作業を実行させる。身体麻痺の病理学的な特徴や機能退化のレベルに応じてロボットの実時間力制御ができるよう、3次元動力学シミュレーションを取り入れた。使用者の作業意欲を引き出し、作業の達成感により脳神経活動を活性化し、より有効に身体運動機能の回復を図る。