建築・土木系エンジニアは転職に消極的

 現在の勤務先の企業規模別に分析すると、小規模の企業よりも、大企業の方が転職意向が強いことが分かる(図3)。期間を問わず転職したいと考えている人の合計は、従業員数5000人以上1万人未満、1万人以上の企業に勤務している人では約8割に上る。100人未満の65.1%、100人以上1000人未満の68.2%とは、10ポイント以上差がついた。大企業は組織が大きい分自分の仕事の成果を感じにくい、希望通りの仕事ができる可能性が低い、といった理由だろうか。

図3●現在の勤務先従業員規模別の転職意向
図3●現在の勤務先従業員規模別の転職意向
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 エンジニアの職種別に見るとどうだろうか。建築・土木系のエンジニアは、IT/電子・機械系のエンジニアに比べて、転職に対して消極的な人の割合が大きい(図4)。「転職したくない」が18.9%、「分からない」が27.8%と、現時点で転職を具体的に意識していないエンジニアが約半数に上る。自由意見では「会社によって仕事の進め方や雰囲気が違うため慣れるまで実力が出せない場合がある。転職は、後戻りが出来ないので事前調査をしっかり行うことを勧める」(土木:計画・設計、50代)といった声が見られた。

図4●職種別の転職意向
図4●職種別の転職意向
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 IT系と電子・機械系はほぼ同じ傾向だが、電子・機械系で「2~3年以内に転職したいが、容易ではないと思っている」が3割を超しているのが目立つ。スキルが専門分野に特化しているため、他社で通用するか不安を覚えている可能性が考えられる。自由意見では「現職において業務の属人化が顕著で、一般的に自分のスキルが評価されるか自信が無い」(電子機器:設計・企画、30代)、「自分の経験が生かせる仕事が少なく転職しづらい」(機械:製造、50代)などの意見が寄せられた。

調査概要
アンケート調査をWeb上で実施。日経BP社のIT系、電子・機械系、建築・土木系のWebメディアを中心に告知した。調査実施期間は2017年7月3日~7月12日。回答者数は672人で、職種の内訳はIT系407人、電子・機械系122人、建築・土木系90人、その他53人。回答者の年齢は、20代以下72人、30代227人、40代214人、50代135人、60代以上24人。